英語教育について
「日本人がなぜ英語を話せないのか」という議論が多く聞かれます。この問題を議論することにも意味はあるでしょう。しかし、これから大切なのは「英語を話すことを学んで、練習して、実践する」ことです。英語を教える場で、英語の知識を習得すると同時にその英語を使って表現すること。これを実践するために英語塾キーロゴスをスタートすることにしたのです。
キーロゴスでは、文法の習得、英語を読む・聴くこと、語彙を増やすこと、そして英語で話す・書くことを毎回の授業で実践しています。
例えば、最近の授業(B2レベル)で、ブラックホール理論で有名な物理学者スティーブン・ホーキングの伝記を読みました。そのなかに、When we discover the laws that govern those forces we rise above them and become masters of the Universe.というホーキングの言葉がありました。「自然の力を支配する法則を発見すれば、人間は宇宙の支配者になれる」という趣旨です。これに対して、授業で生徒に質問したことは、Do you think human beings will become masters of the Universe?「人間が宇宙の支配者になれると思いますか。」ということでした。
このように、英語を読んで意味を理解し、単語を覚えることは必要ですが、そこで止まらずに、さらに読んだ内容について深く考えさせる問いかけが大切だと考えて、それを実践しています。この質問に対する生徒の答えは、以下のようなものでした。
<Aさんの答え>
I don’t think that human beings will become masters of the Universe, because the Universe is so huge that some species other than humans can exist. Human beings cannot dominate the whole universe.
<Bさんの答え>
I don’t think that human beings will become masters of the Universe, because we will all die before we can dominate the Universe. For example, we face dangers such as climate change and covid-19.
実際の生徒の答えはこれほど整然とした英語ではなく、修正が入っています。私が感心したのは、以下のことです。
①I don’t think …が言えたこと。これは今まで指導したことを実行してくれました。
②becauseを使って理由を言えたこと。これは当然のことですが、習慣化してくれました。
③具体例を挙げて理由を補強したこと。もちろん素朴なレベルですが、何とか例を挙げてくれました。
キーロゴスの授業では、読解はActive Reading、リスニングはActive Listeningとして行い、理解しただけで満足せずに、読んだ(聴いた)英語に対して必ず問いかけを行い、理解した内容を自分なりの英語で表現し、自分の考えをたとえ不十分でも英語で話す(書く)ことを実践しています。
もちろん単に問いかけをするだけでは生徒の話す力は伸びません。どのような話し方をすればよいかを指導しています。その指導の事例も今後お知らせできればと思います。